AISにおけるバイリンガル教育

AISでは、児童生徒が母語としての日本語や日本人としての文化的アイデンティティを保持することが重要であると考えています。その上で、第二言語としての英語を日常生活及び社会生活において十分に使うことのできる高いレベルで身に付けることをめざしています。そのために有効であると考えられているイマージョン方式の教育の実践や研究結果を参考に、バイリンガル教育のプログラムを構成しています。

イマージョン方式は1965年にカナダのモントリオールにある公立小学校においてフランス語と英語によるバイリンガル教育として始められ、外国語教育としてはもっとも成功した方法ととらえられており、現在では各国で採用され、日本国内においても取り入れられています。

イマージョン方式では通常の外国語教育と比べてその言語に接触する時間が圧倒的に多く、またそれがその言語そのものを教授されることではなく、その言語が学習及びコミュニケーションの道具として用いられることによる自然習得を目指しています。また二言語の使い分けが明確にされていることで子どもが二言語の間で混乱することを防いでいます。AISでは基本的に国語と社会科の一部(日本史・日本地理)を日本語で、その他の教科については英語を中心に授業を進めることになっており、児童生徒の二言語習得に効果的と考えられる二言語の割合を調整してカリキュラムを組んでいます。


AISの教育と学習指導要領

AISは、現時点において学校教育法第1条に定められている「学校」ではありませんが、創立から将来に渡り日本社会の発展に貢献する人材を育成するための教育機関としての位置づけを得ることを目的とし、文部科学省の定める学習指導要領に準拠した上で、国際学校としての機能を果たしていきます。AISでは学習指導要領を学校教育の中心的な指針として用い、より良い日本社会を築いていく日本人の育成を目指すとともに、同じく指導要領によって求められている「創意工夫を生かし特色ある教育活動を展開」し、AIS独自の教育を行っていきます。


AISの教育における教科の全般について


AISでは急速に進む国際化社会に柔軟に対応し、日本社会の発展および世界の平和を望む人材の育成を目指し、特色ある教育活動を行います。急速に変化しつつある社会の中で自己の能力を十分に発揮し、よりよく生きることを目指し続けるために必要不可欠である「自ら学び、自ら考える力」を「自ら問題を設定し、調査・研究し、まとめ、発表する力」としてAISのカリキュラム目標として掲げ、あらゆる学習や活動を通して育成していきます。バイリンガル教育を導入することにより日本語及び英語の両言語によって基礎的・基本的な内容の定着を確実にし、個人の個性と可能性を伸ばすことを目指します。

AISでは道徳教育を教育の基礎としてとらえており、教育基本法及び学校教育基本法に定められた根本精神に基づき、国際学校としての特色を生かしながら、児童の道徳性の養成を教育活動全体を通して行います。学校内における教師と児童生徒の関係及び児童どうしの関係を学校内の教育活動において重要なものとみなし、特に教師が児童のよき見本となるような道徳性を持ち合わせていることに配慮し、国際学校であっても日本人としての自覚を十分に養うとともに、広く世界を視野にいれた道徳教育を展開します。

AISにおける体育・健康に関する指導は学習指導要領に従い、学校の教育活動全体を通じて適切に行います。AISではスクールランチ及び各家庭で用意される児童生徒の食事によって児童生徒が健康を維持し、健康を自己管理できるように、現在重要視されている食育にも目を向け、保護者との連携を図り積極的に取り組みます。また、体育の施設に関しては現在のところ十分とはいえないが、現在使用できる環境を生かした独自の指導を行うことにより児童生徒が自らの生活に積極的に運動を取り入れていけることをめざします。食事や運動を基礎とした健康を維持するための自己管理能力は社会を担う人材として必要不可欠なものとして自覚を促す教育を行います。


AISにおける内容等の取り扱いについて


AISでは学習指導要領第2章以下に示されている各教科、道徳及び特別活動及び各学年の内容に関する事項は基礎として完全に網羅し指導していくこととしています。

ここでは「学校において特に必要がある場合には、第2章以下に示していない内容を加えて指導することができる」とあることからも、前項の学習指導要領の内容を完全に網羅することを前提とした上で、AIS独自の教育内容を組み込むこととします。それにより、より良い教育的指導ができ、その結果が児童生徒にとって有益となることを目的としています。また、ここで示される通りにそのような学校独自の教育内容が第2章以下に示す各教科、道徳、特別活動及び各学年の目標や内容の趣旨を逸脱することなく、また児童生徒の負担過重にならないことには十分に留意します。

学習指導要領に掲げてある事項の順序については、指導の順序を示しているものではないため、AISにおいて適切な判断に基づきより良い学習ができる順序によって教育活動を行うこととします。

学年の目標及び内容を2学年まとめて示した教科の内容は、児童の実態を十分に把握した上で、適切な内容・時数・時期に指導するものとします。

AISではクラス定員が少人数であることからも、教科により、複数学年クラスの児童によって授業クラスが編成される場合には、各教科及び道徳の目標の達成に支障のない範囲内で、各教科及び道徳の目標及び内容について学年別の順序によらない場合もあります。


AISにおける総合的な学習の時間の取り扱いについて


AISにおける総合的な学習の時間においては、国際学校としての特色を出しながら地域や学校、児童の実態などに応じて、児童の興味・関心に基づく学習など創意工夫を生かした教育活動を行います。

AISにおける総合的な学習の時間においては、学習指導要領に求められている次のねらいをもって指導を行うと共に、この3点が次世代を担う人材にとっては必要不可欠なものであると判断し、またこれらがバイリンガル教育において両言語を有用なものとして身に付けるために必要な要素であることから、総合的な学習が始まる前の第1・2学年の教育活動全般、特に生活科において、また第3学年以降の学年の他の教科に関しても十分に生かしていくこととしています。

(1) 自ら課題を見つけ、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、より良く問題を解決する資質や能力を育てること。
(2) 学び方やものの考え方を身に付け、問題の解決や探究活動に主体的、創造的に取り組む態度を育て、自己の生き方を考えることができるようにすること。
(3) 各教科、道徳及び特別活動で身に付けた知識や技能などを相互に関連付け、学習や生活において生かし、それらが総合的に働くようにすること。

AISにおいては、1及び2に示す趣旨及びねらいを踏まえ、総合的な学習の時間の目標及び内容を定め、例えば国際理解、情報、環境、福祉、健康などの横断的・総合的な課題、児童生徒の興味・関心に基づく課題、地域や学校の特色に応じた課題になどについて、児童生徒それぞれ個人のテーマをもった学習活動を行うものとしています。

AISにおいては、学校における全教育活動との関連の下に、目標及び内容、育てようとする資質や能力及び態度、学習活動、指導方法や指導体制、学習の評価の計画などを示す総合的な学習の時間の全体計画を作成するものとします。

AISにおける総合的な学習の時間の名称については、「研究活動の時間」とします。

総合的な学習の時間の学習活動を行うにあたっては、学習指導要領を指針とし、次の事項に配慮いたします。

(A) 目標及び内容に基づき、児童生徒の学習状況に応じて教師が適切な指導を行うこと。AISの教師は児童の興味・関心をより深く有意義なものへと導くために、自ら日々調査や研究を行うこととします。

(B) 自然体験やボランティア活動などの社会体験、観察・実験、見学や調査、発表や討論、ものづくりや生産活動など体験的な学習、問題解決的な学習を積極的に行います。

(C) グループ学習や異年齢集団による学習などの多様な学習形態、保護者や地域の人々の協力を得つつ、全教師が一体となって指導に当たるなどの指導体制について工夫する。またAISでは子どもの興味・関心をより深く・広くするために短期指導者として専門家による指導などが受けられるようにすることも計画している。

(D)学校図書館の活用、公民館、図書館、博物館などの社会教育施設や社会教育関係団体等の各種団体との連携、地域の教材や学習環境の積極的な活用などについて工夫する。

(E)国際理解に関する学習に関しては、国際学校としてのAISの特色を十分に生かし、バイリンガル教育における児童生徒の文化習得や価値観の形成などについて常に研究を重ね、児童生徒が適切に国際理解について学習することができるようにする。


AISの授業時数などの取り扱いについて


各教科、道徳、特別活動及び総合的な学習の時間(以下「各教科等」という)の授業は、年間35週以上にわたって行うよう計画し、週当たりの授業時数が児童生徒の過重負担にならず、且つバイリンガル教育において十分に基礎学力を養えることを考慮し、学習指導要領に示された範囲内で決めることとします。各教科等や学習活動の特質に応じ効果的な場合には、これらをある限られた期間に行う場合がある。昼食の時間、休憩の時間などに関しては時間割に記した通りです。

特別活動の授業のうち学校行事については、それらの内容に応じ、年間、学期ごと、月ごとなどに適切な授業時数を設ける。現行においてはAISには児童会・生徒会組織は存在しない。また、クラブ活動に関しては、初年度は予定はなく、今後必要に応じて対応していきます。

各教科などのそれぞれの授業の1単位時間は、児童生徒の発達段階及び各教科等や学習活動の特質を考慮したうえでAISでは45分に定めている。

AISにおいては「地域や学校及び児童の実態、各教科等や学習活動の特質等に応じて、創意工夫を生かし時間割を弾力的に編成することに配慮する」との学習指導要領の指示によりそれらを十分に考慮し、AISの掲げる教育理念に基づいて時間割を編成した。


AISの教育と検定教科書及びその他の教材


AISでは文部科学省の学習指導要領に準拠した教育を目指しているため、教科書も基本的に地域に即した検定教科書を使います。国語に関しては日本語のまま使用し、社会に関しては日本語で学ぶことが適切であると考えられ、日本の歴史や日本の地理に関する部分は日本語で使用いたします。その他の教科書は児童生徒の発達上必要と思われる場合に関しては、適宜日本語を用いることが予想されるが、原則として、すでに英語版が発行されているものに関しては英語版を採用し、その他翻訳版がないものに関しては、AISにおいて英語母語者が翻訳したものを使用することにします。また、学級担任および各教科の担当教員を主として、適切な外国の教科書を使用し、児童生徒がより深い知識や教養を得られるように教科書を採用いたします。また、副教材においても児童生徒の興味関心や発達段階、学級の状態などを十分考慮した上で、教科書を理解し、発展させることに効果的であると思われるものを適宜用います。その際、様々な視点を生かし、国内外の広い範囲において副教材となりうるものを検討し、AISの教育の発展に生かします。



各教科について

AISでは学習する全ての教科において、学習目標を定めています。詳しくは入学希望の皆様に配布する指導マニュアルに掲載しています。ここでは算数について抜粋いたします。

<算数>

日本の児童生徒の数学能力の高さはかつて世界的にも上位にあったが、このところ、低下の傾向にあることが指摘されている。理数科好きの児童生徒の数に関しては、現状では最低レベルにある。その背景には、計算はコンピューターや電卓が行うものであり、自分自身で「考えることを面倒」と感じている児童生徒の姿がある。しかし、この考えることを面倒だと感じることは、算数・数学だけではなく、学習全般にかかわってくる問題でもあると同時に、算数・数学は「考える力」を育てることに関して大きな役割を担っているのも事実である。このことから、AISでは、現在盛んに言われている、基礎・基本を押さえ、計算の鍛錬することを取り入れつつも、ディスカッションと徹底的に記述して説明する活動を行いながら進める問題解決型学習、及び数学的な活動を体や手先を使って行い、算数・数学にかかわることがらを体感し、数学的な感性を身に付けることを目指す。これにより、AISのカリキュラム目標の「問題を設定し、調査・研究し、まとめ、発表する力」、「創造力と自己表現」を効果的に養うことを視野にいれて、算数・数学の活動を構成する。
算数・数学は生活に即役立つことを児童生徒が実感し、それを意欲として結びつけ、次の活動に取り組むようにする。また、数学的な思考や事象が生活の中に存在することを体感し、数学に対する感動を抱くことができるといった数学的な感覚を、ハイタッチとして目に見えないものであるが重要なものとAISでは捉えている。けた桁や図形に関する感覚、広さや重さに関する感覚など、様々な数学的な感覚を得て、およその見当をつけることや、先を予想することができるようになることは、人間が生きていく上で毎日働かせる感覚を育てていくこととなる。
以上のようなことを考慮しながら、次のようなことを重点ポイントとして、各学年の算数・数学を進めることとする。

1.問題解決

考える力を付ける数学の中心的な活動は「問題解決」である。それは、新しい内容を学ぶときに、教師が例題の解き方を説明した後に児童生徒が類似問題に取り組むという従来の方法ではなく、その解き方について自身で考え、クラスで練り上げ、法則の発見などの「問題解決」につながることによって進められるものである。この、問題の解決を自身でもしくはクラス全体で話し合いながら取り組むなかで、創造力や表現力が大いに使われることになる。自身で導きだした解答方法は、たとえ類似問題で解き方を忘れてしまったとしても、そこであきらめるのではなく、もう一度解き方から模索し、自身で考えることによって挑戦することができる。また、問題解決を行う授業では、従来答えが一つしかないといわれてきた算数・数学の授業においても、児童生徒の多様な考えを認め、それを用いることができ、数学的な思考回路をつくることができる。

また、それによって、児童生徒のまわりにみ 満ちあふ溢れている「不思議」な事象について、積極的に理数的な知識や考え方によって解決しようとし、物事を多面的にとら捉え、知識と創造力を生かしながら論理的に考える姿勢を育てることができる。特に、AISでは英語で算数・数学を学ぶため、講師が解法を提示し、それにしたがって問題を解くことよりも、その解法に行き着く過程において言語とコミュニケーションを駆使して理解していくことが、数学的な能力と言語能力において必要なものとなってくる。

2.ディスカッション

前述した「問題解決」を行う際に行われるディスカッションは、算数・数学を学びながらコミュニケーション力を養うことができる。算数・数学の時間のディスカッションには次のような有効性がある。

1 自分の思考に対して、他者の意見を参考にしたり、活用したりすることができるようになる。
2 算数・数学の表現を口に出すことによって理解し、定着させることができる。
3 数学的な表現のよさに気付くことができる。
4 自分の考えを人にうまく伝えるということを意識するようになる。
5 日常は機会の少ない、数学的な会話をすることができる。
6 ディスカッションそのものの大切さに気付くことができる。
7 ディスカッションをする際に必要な態度を身に付ける訓練となる。
8 一つの問題を解決するという目的が明確なために、徹底的に話し合うことができる。
9 英語を使って算数・数学についてディスカッションすることによって数学能力と言語能力の相乗効果がある。

これらは学級の雰囲気がお互いの信頼関係によって成り立ち、意見を言いやすく、認め合う雰囲気があるときに、よい結果を学級全体に及ぼす。また、答えを導き出すこと以前に、ディスカッションをするということ自体に目的や教育効果があることから、「考える」ことの楽しさを十分に学ぶことができることが期待される。

3.書くこと

算数・数学で書くといえば、式と答えが一般的であるが、ここで「書くこと」としているのは、前述したディスカッションのような内容や、自身の思考過程や、他の人の意見や見方をノートに詳細に記述していくことによって、問題解決の糸口を得ること、考えを整理すること、考え方や公式の導かれ方を明確にすることである。算数・数学であるから、数字を中心にということではなく、言語能力を十分に使うことによって、数学的な思考を身に付けることを目的としている。
 また、算数・数学の学習で得られたこと、授業を終えた後の感想も積極的に記入していくことで、算数・数学へのおも想いを育て、ハイタッチを育てることが期待される。数学的な記述をすることによって、筋道をたてること、論理を構築することなどを学び、他の分野での論理の構築や、ディスカッションに生かすことができる。「書く」という行為の有効性を体感し、他の場面にも生かすこともできる。また、これが児童・生徒にとって困難といわれている、証明の問題の基礎にもなり、数学的な思考を定着させることができる。言語の能力に関しても、式や答えだけの場合や、口頭発表のときよりも厳密な表現が求められることから、二言語で学習をするAISの児童生徒にとっては非常に有効なことである。

【 算数・数学科におけるハイタッチ・ハイテク教育 】

ハイタッチ High Touch ハイテク High Tech

・ 数の大きさについてイメージをもつ
・ 数の神秘性に気付く
・ 幾何の美しさを感じる
・ 解法を予想する
・ 周りの「不思議」を数学的な感覚でとらえる
・ 法則の活用のひらめき
・ 折り紙の美しさや楽しさに感動する
・ 事象を数学的にとらえようとする意欲
・ 数学的な知識を生活に生かそうとする姿勢
・ その他
・ 計算技術
・ 法則の理解
・ 既習の法則の活用
・ 周りの事象を数字に置き換える
・ 物事を数学的に理解する
・ 折り紙を数学的に理解する
・ 数学的な知識を生活に生かす技術
・ その他



4.基礎計算力/数学的な活動


ドリルばかりをやっている算数・数学教育は批判の対象にもなっているが、力の定着に役立っていたことも事実である。AISでは、前述したじっくり考える算数・数学とともに問題解答の速さと正確さを伸ばすために、計算問題に短い時間で取り組むことや、フラッシュカードを導入することに関して積極的に取り組むこととする。子どもにとっては、早く正確にできることも、また喜びとなり、先の数学的に考える力とあわせて総合的な算数・数学の能力となる。

先述したように、算数・数学に取り組む前提として、数学的な感性や感覚を重視しているが、それらを養うために、数学的な体験活動や、算数・数学に関する本を読み聞かせたりする内容にも取り組む。自分の徒歩の速さを実際に測定する、タイルを敷き詰める作業を行う、6つの点によって成り立っている点字にふれ、組み合わせや数の活用について知る、自分の生活の中の事柄をグラフに表す、各国の単位を知り国際理解の機会を得る、パズルやタングラムに取り組む、などの児童生徒が夢中になり楽しみながら数学的なセンスを養えるものを取り入れることとなり、ハイタッチ・ハイテク教育の原則に準ずるものとする。


5.折り紙

折り紙を使って数学的な感覚を養い、図形についての理解を得る試みがされている。これは、数学的な活動において継続的に取り扱われるものとする。日本人にとってなじ馴染み深い折り紙を使うことは、AISの児童生徒にとっては、大きな意味がある。児童生徒が楽しみながら感覚や感性を養っていけるものとして、また日本文化に触れるといういみでも意味があるものとして、取り組んでいきたい。


6. 学習指導要領の目標及び内容の取り扱いについて

学習指導要領 算数・数学科 目標

小学校
数量や図形についての算数的活動を通して、基礎的な知識と技能を身に付け、日常の事象について見通しをもち筋道を立てて考える能力を育てるとともに、活動の楽しさや数理的な処理のよさに気付き、進んで生活に生かそうとする態度を育てる。

中学校
数量、図形などに関する基礎的な概念や原理・法則の理解を深め、数学的な表現や処理の仕方を習得し、事象を数理的に考察する能力を高めるとともに、数学的活動の楽しさ、数学的な見方や考え方のよさを知り、それらを選んで活用する態度を育てる。

AISでは算数・数学を考える力を付けるために大きな役割を果たす教科であるととら捉え、数学的な思考を身に付けることが、他教科の思考活動にもよい影響をもたらすことが期待される。特に、今まで正しい答えを見つけだすことに集中していたともいえる算数・数学科の授業展開を、解法を導き出すところから児童生徒の活動によって行い、答えを出すまでの過程を児童生徒が楽しみながら行うことによって、数学的な思考や物事のとら捉えかたを知り、日常生活に生かすことを目指す。

<第1学年の目標について>

第1、第2学年は数の感覚やセンスを養うのに大切な時期といわれており、この時期の算数とのかかわりがその後の算数・数学の学習に大きな影響を与えることになる。具体物や日常の事柄のなかにいかに数学的な思考や知識が存在するかということを知ると同時に、数学の摂理の不思議さなどにも触れる機会をもち、算数に対して興味と学ぶ動機付けが十分にされるように配慮する。また、AISでは算数は英語で授業が行われることになるが、日本語で分かっていなければならない用語などについては説明を補うこととする。

(1)第1学年は具体物を用いたりする活動を中心に算数に親しんでいく。これは、バイリンガル教育の観点からも有効なものである。加法と減法の理解はすべての数学にかかわる基本であるため、楽しくかつ確実に身に付ける。

(2)加法・減法と同じように具体物を用いながら量についての感覚を養う。これは、ハイタッチの教育として重要である。またバイリンガル教育の初期には具体物を用いることは有効である。

(3)図形の活動は、図画工作などとの連携もはかり楽しく行う。形の美しさなどにも気付くことができるような展開にする。

算数・数学科 学年目標


第一学年

(1)具体物を用いた活動などを通して、数についての感覚を豊かにする。数の意味や表し方につ  いて理解できるようにするとともに、加法及び減法の意味について理解し、それらの計算の  仕方を考え、用いることができるようにする。

(2)具体物を用いた活動などを通して、量とその測定についての理解の基礎となる経験を重ね、量の大きさについての感覚を豊かにする。

(3)具体物を用いた活動などを通して、図形についての理解の基礎となる経験を重ね、図形についての感覚を豊かにする。


第二学年

(1)具体物を用いた活動などを通して、数についての感覚を豊かにする。数の意味や表し方につ  いての理解を深めるとともに、加法及び減法についての理解を深め、用いることができるようにする。また、乗法の意味を理解し、その計算の仕方を考え、用いることができるようにする。

(2)具体物を用いた活動などを通して、長さの単位や測定について理解できるようにし、量の大きさについての感覚を豊かにする。
(3)具体物を用いた活動などを通して、図形についての理解の基礎となる経験を一層重ね、図形についての感覚を豊かにする。


第三学年

(1)加法及び減法を適切に用いることができるようにするとともに、情報についての理解を深め、適切に用いることができるようにする。また、除法の意味について理解し、その計算の仕方を考え、用いることができるようにする。

(2)かさ、重さや時間などの単位や測定について理解できるようにする。

(3)図形を校正する要素に着目して、基本的な図形について理解できるようにする。

(4)資料を整理して表やグラフに表したり用いたりすることができるようにし、それらの有用さが分かるようにする。


<第2学年の目標について>

(1)第1学年の加法と減法を確実に理解するとともに、その速さや正確さも鍛錬する。また、乗法は九九を確実に覚えることと同時に、乗法の意味を問題解決などの手法を用いて理解する。

(2)長さや量についての単位を理解し、実際の生活に用いること。また、日本で使われている単位とともに、米国や他の外国においては違う単位が使われていることについても知識を持つこと。

(3)日常的に図形の知識を用いる場面を多く経験し、図形に対する認識を深める。特にAISの児童は日本語と英語の両言語において図形の名称を定着させる。


<第3学年の目標について>

(1)加法・減法・乗法についてはハイテクとして日々鍛錬し、速さと正確さを高めること。また、第3学年の内容として新しくでてくる除法については、つまずく児童も多くいることが前例としてあるため、教師の説明だけで終わることなく、ディスカッションや徹底した記述説明によって全児童がその考え方を理解できるようにする。

(2)かさ、重さ、時間に関しては日米両言語において確実にみにつけ、日常において意識的に用いること。

(3)図形のなかに含まれる要素について理解し、それについて自然の摂理からも思い巡らすことができるようにする。図形の学習に折り紙を用いることや、自然観察の中からも図形について学ぶ機会を設ける

(4)資料の読み取り方について学び、表やグラフに関して理解をもつ。日常的なことを表やグラフに表す経験を重ね、研究活動の時間において自分が進めている課題の中の表現にも表やグラフなどを用いてみることを促す。

AISにおける算数科第1学年の習得すべき学習内容

・ものの個数を比べること。
・個数や順番を正しく教えたり表したりすること。
・数の大小及び順番を考えることによって、数の系列を作ったり、数直線の上に表したりすること。
・一つの数を他の数の和や差としてみるなど、他の数と関係付けてみること。
・100までの数について、その表し方と意味を理解すること。
・同じ大きさの集まりにまとめて数えたり、分類したりして数えたりすること。(2年)
・4位数までについて、十進位取り記数法による数の表し方及び数の対象や順序について理解すること。(2年)
・加法及び減法が用いられる場合について知り、それらを式で表したり、その式をよんだりすること。
・1位数と1位数との加法及びその逆の減法の計算の仕方を考え、その計算が確実にできること。
・加法と減法の相互関係について理解すること。(2年)
・2位数までの加法及びその逆の減法の計算の仕方を考え、それらの計算が1位数などついての基本的な計算を基にしてできることを理解し、それらの計算が確実にできること。また、それらの筆算の仕方について理解すること。(2年)
・加法及び減法に関して成り立つ性質を調べ、それを計算の仕方を考えたり計算の確かめをしたりすることに生かすこと。(2年)
・ものの長さを比較することなどを通して、量とその測定についての理解の基礎となる経験を豊かにする。
・長さを直接比べること。
・身近にあるものの長さを単位として、そのいくつ分かで長さを比べること。
・日常の中で時刻をよむことができるようにする。(2年)
・ものの形を認めたり、形の特徴をとら捉えたりすること。
・前後、左右、上下などの方向や位置に関する言葉を正しく用いて、ものの位置を言い表すこと。
・いろいろな形を作ったり分解したりすること。(2年)
・三角形、四角形などについて知り、それらをかいたり作ったりすること。(2年)

AISにおける算数科第2学年の習得すべき学習内容
・前述した第1学年の学習内容に関して、第2学年の学習のなかでも復習を取り入れ、完全に習得する。これに加え以下の事項の習得を目指す。ただし、発達段階や児童の様子を考慮して第3学年において学習したほうがよいと思われるものはそのようにする場合もある。
・数を十を単位としてみたり百を単位としてみたりするなど、数の相対的な大きさについて理解すること。
・一つの数をほかの数の積としてみるなど、他の数と関係透けてみること。
・簡単な事柄を分類整理し、それを数を用いて表したり、表やグラフの形に表したりすること。
・万の単位について知ること。(3年)
・10倍、100倍したり10で割ったりした大きさの数及びその表し方について知ること。(3年)
・数の相対的な大きさについての理解を深めること。(3年)
・3位数の加法及び減法の計算の仕方を考え、それらの計算が2位数などについての基本的な計算を基にしてできることを理解すること。(3年)
・加法及び減法の計算が確実にでき、それらを適切に用いること。
・加法及び減法に関して成り立つ性質を調べ、それを計算の仕方を考えたり計算の確かめをしたりすることに生かすこと。
・乗法が用いられる場合について知り、それを式で表したり、その式をよんだりすること。
・乗法に関して成り立つ簡単な性質を調べ、それを乗法九九を構成したり計算の確かめをしたりすることに生かすこと。
・乗法九九について知り、1位数と1位数との乗法の計算が確実にできること。
・2位数や3位数に1位数をかけたり、2位数に2位数を書けたりする乗法の計算の仕方を考え、それらの計算が乗法九九などの基本的な計算を基にしていることを理解すること。また、その筆算の仕方について理解すること。(3年)
・乗法の計算が確実にでき、それを適切に用いること。(3年)
・乗法に関して成り立つ性質を調べ、それを計算の仕方を考えたり計算の確かめをしたりすることに生かすこと。(3年)
・長さについて単位と測定の意味を理解すること。
・長さの単位(ミリメートル(mm)、センチメートル(cm)、およびメートル(m))について知ること。
・日、時、分及び秒について知り、それらの関係を理解すること。(3年)
・簡単な場合について、必要な時刻や時間を求めること。(3年)
・箱の形をしたものを観察したり作ったりすることを通して図形を構成する要素について知ること。
・図形を構成する要素に着目して、正方形、長方形、直角三角形について知り、それらをかいたり、作ったり平面状上で敷き詰めたりすること。

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